有給休暇は残っているのに、なぜか使いづらい。
申請すると上司に嫌な顔をされたり、数日まとめて休もうとすると小言を言われたりする会社もあります。
私自身も、有給休暇をまとめて取得した際に、上司から「こういう休み方は目立ちますよ」と言われたことがあります。
部署が変わっても似たような反応を受けたことがあり、「休むこと自体は認められても、気持ちよく送り出してもらえるわけではない」と感じています。
それでも私は、必要な引き継ぎを行ったうえで、家族との時間や旅行のために有給休暇を使っています。
この記事では、有給が取りづらい会社はおかしいのか、嫌な顔や小言を受けたときにどう対応すればよいのかを、会社員としての実体験と制度上の基本ルールから解説します。
この記事の結論
- 有給休暇は、原則として労働者が取得日を指定できる。
- 上司の承認がなければ成立しない制度ではない。
- 会社には、事業の正常な運営を妨げる場合に別の日程への変更を求める権利がある。
- 「会社は年5日取らせればよい」という意味ではない。
- 嫌な顔や小言だけで直ちに違法とは断定できないが、繰り返し拒否されたり、不利益を受けたりする場合は記録と相談が必要。
- 改善しない場合は、在職したまま他社の働き方を比較してもよい。
※有給休暇制度に関する内容は、2026年9月時点で確認できる厚生労働省の公表資料をもとにしています。個別の状況については、勤務先の就業規則や専門窓口もご確認ください。

有給が取りづらい会社はおかしい?
有給を申請するたびに嫌な顔をされたり、理由をしつこく聞かれたりする職場は、少なくとも「休みやすい会社」とはいえません。
ただし、職場の雰囲気が悪いことと、法律に違反していることは分けて考える必要があります。
上司が嫌そうな反応をしたという事実だけで、直ちに違法と断定できるわけではありません。
一方で、次のような状況が続いている場合は、単に雰囲気が悪いだけでは済まない可能性があります。
- 早めに申請しても、具体的な理由なく毎回拒否される。
- 人手不足を理由に、ほとんど希望日を認めてもらえない。
- 病気や冠婚葬祭以外では取得できないと言われる。
- 有給を取得すると、賞与や人事評価で不利益を受ける。
- 有給を申請したことを理由に、退職を促される。
- 会社から別の日程を提示されず、取得そのものを諦めるよう求められる。
大切なのは、上司の表情だけで判断することではありません。
実際に有給を取得できているか、繰り返し拒否されていないか、取得したことで不利益を受けていないかを確認する必要があります。
有給をまとめて取ったら小言を言われた私の実体験
私は勤続年数などの条件から、年20日の有給休暇が付与される立場です。
家族との時間や旅行のため、必要に応じて数日まとめて取得することがあります。
その際、上司から次のような趣旨のことを言われました。
こういう休み方は目立ちますよ。
申請自体を却下されたわけではありません。
しかし、休暇を取るたびにそのような言葉を受けると、「制度上は使えるけれど、歓迎はされていない」と感じます。
私の場合、特定の上司だけの問題でもありませんでした。部署が変わったあとも、似たような反応を受けたことがあります。
会社全体として有給取得を禁止しているわけではなくても、「あまり休まない人の方がよい」という空気が残っている職場はあると思います。
年収が高ければ休みやすいとは限らない
私の身近にも、私より年収が高い会社で働いているものの、有給休暇は最低限の5日ほどしか使えていない人がいます。
収入が高いことと、自分の希望に合わせて休めることは別の問題です。
転職先や勤務先を評価するときは、年収や会社名だけでなく、休暇を実際に使える環境かどうかも確認した方がよいでしょう。
有給休暇は会社の許可がなければ取れない?
有給休暇は、原則として労働者が取得する日を指定する制度です。
厚生労働省は、取得する月日だけでなく、分割して取るか、何日連続で取るかについても、原則として労働者が決められ、使用者の承認は必要ないと説明しています。
つまり、周囲への配慮や社内手続きは必要ですが、「上司が気に入らなければ取得できない」という制度ではありません。
「申請」と「許可」は分けて考える
会社の勤怠システムなどで「有給申請」という名称が使われていても、有給休暇は上司の好意で与えてもらうものではありません。
ただし、無断で休んでよいという意味でもありません。就業規則に従って申請し、業務調整や引き継ぎを行うことは必要です。
会社が別の日程への変更を求められる場合もある
希望日に有給休暇を与えると「事業の正常な運営を妨げる」場合、会社は時季変更権を使い、別の日程への変更を求められることがあります。
例えば、繁忙期に複数の従業員の希望日が重なり、通常の業務を維持できない場合などです。
ただし、単に「忙しい」「人が少ない」「前例がない」と言えば、いつでも拒否できるわけではありません。
会社から日程変更を求められた場合は、次の点を確認してください。
- 希望日に取得できない具体的な理由は何か。
- どの業務に支障が出るのか。
- 引き継ぎや担当者の調整では対応できないのか。
- 代わりに取得できる日程はいつか。
取得そのものを諦めるのではなく、別の日程も含めて調整することが大切です。
有給が年20日あっても、5日しか取れない会社は普通?
週5日勤務などの一般的な働き方では、雇入れから6か月継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤すると、原則として10日の有給休暇が付与されます。
その後も条件を満たしながら勤続すると付与日数が増え、6年6か月以上で年20日になります。
年20日の付与は、長く働く人に対する特別な優遇ではなく、法律上定められた日数です。
年5日は取得上限ではなく、会社側の最低義務
年10日以上の有給休暇が付与される労働者について、会社には基準日から1年以内に5日取得させる義務があります。
ここで誤解されやすいのが、「会社は5日だけ取らせればよい」という考え方です。
年5日は会社側に課された最低限の取得義務であって、労働者が6日目以降を取得できなくなる制度ではありません。
「法律で必要なのは5日だから、それ以上は認めない」という説明には注意が必要です。
年5日の取得義務と、労働者が保有している有給休暇を取得する権利は別のものです。
平均取得日数は12.1日
厚生労働省の「令和7(2025)年就労条件総合調査」によると、2024年の労働者1人あたりの平均付与日数は18.1日、平均取得日数は12.1日、取得率は66.9%でした。
もちろん、平均より少ないから直ちに問題というわけではありません。
有給をあまり必要としなかった人もいれば、希望しても取得できなかった人も含まれているからです。
ただし、毎年5日しか使えず、残りの日数を取得したくても認められないのであれば、「どの会社でも同じ」と決めつける必要はありません。
有給をまとめて取るのは迷惑?
有給休暇を数日続けて取ること自体が、一律に禁止されているわけではありません。
取得日や連続して取る日数は、原則として労働者が決められます。
一方で、1日休む場合と、1週間近く休む場合では、職場への影響が異なります。
制度上の権利があることと、引き継ぎをしなくてよいことは別です。
私は、まとめて休む場合ほど次の準備を意識しています。
- 可能な限り早めに希望日を伝える。
- 締切のある仕事を事前に整理する。
- 休暇中に対応が必要な仕事を明確にする。
- 引き継ぐ相手に、必要な資料と連絡先を共有する。
- 自分にしか分からない仕事を減らす。
- 休暇後に対応するものを一覧にする。
こうした準備は、上司に気に入ってもらうためではありません。
安心して休み、自分が不在でも仕事が回る状態をつくるためです。
有給を取ると嫌な顔や小言を受けるのは違法?
上司に嫌な顔をされたり、皮肉を言われたりしただけで、直ちに法律違反と断定するのは難しいでしょう。
一方で、会社が有給休暇の取得を妨げたり、取得した労働者に不利益な扱いをしたりする場合は、別の問題です。
次のような事実がある場合は、日時、発言、申請内容、会社の回答を記録しておくことをおすすめします。
- 有給申請を何度も取り下げるよう迫られた。
- 具体的な理由や代替日を示さず拒否された。
- 有給取得を理由に欠勤として処理された。
- 有給を取ったことで賞与や評価を下げると言われた。
- 取得日数の多さを理由に退職を促された。
- ほかの従業員には認めているのに、自分だけ取得を妨げられた。
この記事は一般的な制度と会社員としての経験を紹介するものです。
個別の状況における違法性や請求の可否は、労働基準監督署、総合労働相談コーナー、労働問題を扱う弁護士などに相談してください。
有給が取りづらいときの伝え方と対処法
有給が取りづらいからといって、最初から上司と対立する必要はありません。
まずは次の順番で状況を整理します。
1.就業規則と残日数を確認する
最初に、会社の就業規則、有給休暇の残日数、申請期限、申請方法を確認します。
社内手続きを守っていないと、制度上の問題ではなく、申請方法の問題として扱われる可能性があります。
2.できるだけ早く、記録が残る方法で申請する
旅行や家族の予定など、前もって分かっている休暇は早めに伝えます。
口頭だけでなく、勤怠システム、メール、社内チャットなど、あとから確認できる方法を使うと安心です。
○月○日に有給休暇を取得したいと考えています。担当業務については○日までに整理し、必要な内容を△△さんへ共有します。
有給を取る理由は、原則として利用目的を問われません。
社内の申請欄に理由の記載が必要な場合でも、「私用のため」といった簡潔な表現で足りることが一般的です。
3.引き継ぎ内容を具体的に伝える
上司が心配しているのが業務への影響であれば、引き継ぎ方法を具体的に示すことで調整しやすくなります。
休暇中に対応が必要な案件は2件あります。1件目は△△さんへ共有済みで、2件目は休暇前日までに完了する予定です。
「迷惑をかけて申し訳ありません」と過度に謝るより、仕事がどう処理されるのかを明確にした方が建設的です。
4.小言には感情的に反応せず、問題点を確認する
「こんなに休む人はいない」「目立ちますよ」と言われた場合は、感情的に言い返す前に、業務上の問題があるのかを確認します。
業務に支障が出ないように準備したいと考えています。具体的に調整が必要な業務があれば教えてください。
この返し方であれば、相手の感情ではなく、仕事上の問題に話を戻せます。
5.拒否された場合は理由と代替日を確認する
希望日に取得できないと言われた場合は、「駄目ですか」と確認するだけで終わらせず、具体的な理由を聞きます。
希望日の取得が難しい具体的な理由を教えていただけますか。また、別の日程であれば、いつ頃取得できるでしょうか。
会社が日程変更を求めるのであれば、いつなら取得できるのかまで確認することが重要です。
6.改善しない場合は記録を持って相談する
同じことが繰り返される場合は、次の情報を整理します。
- 申請した日と取得希望日。
- 申請方法と申請内容。
- 上司から言われた内容。
- 取得を拒否された理由。
- 会社から代替日が提示されたか。
- 評価や給与などで不利益を受けたか。
そのうえで、人事・労務担当、社内相談窓口、労働組合などに相談します。
社内で解決しない場合は、都道府県労働局や労働基準監督署の相談窓口も利用できます。
有給が取りづらい会社は辞めるべき?
一度小言を言われたからといって、すぐに会社を辞める必要はありません。
給与、仕事内容、通勤時間、福利厚生、雇用の安定性、人間関係など、勤務先を評価する要素はほかにもあります。
私自身も、小言を言われたことだけを理由に退職しようとは考えていません。
一方で、次のような状態が続く場合は、社内での改善だけでなく、他社との比較を始めてもよいと思います。
- 早めに申請しても毎回のように拒否される。
- 慢性的な人手不足を理由に、何年も希望日に休めない。
- 有給を取得すると評価や賞与で不利益を受ける。
- 上司や部署が変わっても同じ問題が続く。
- 休めないために心身の疲れが取れない。
- 家族との予定や旅行を毎回諦めている。
- 人事や労務担当に相談しても改善しない。
「転職するか、我慢するか」の二択にする必要はありません。
在職したまま求人を確認し、今の会社より働きやすい選択肢があるかを調べるだけでも構いません。
転職先では年収だけでなく、実際の休みやすさを確認する
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 年間休日 | 有給休暇を含めず、会社所定の休日が何日あるか。 |
| 有給取得率 | 会社全体だけでなく、可能なら配属予定部署の実績を確認する。 |
| 平均取得日数 | 年5日程度なのか、10日以上取得する人が多いのか。 |
| 連続休暇 | 旅行や帰省のために数日まとめて休む実績があるか。 |
| 計画年休 | 会社が日程を決める日数と、自分で選べる日数の内訳。 |
| 残業時間 | 誰かが休んでも業務を補える人員体制になっているか。 |
| 希望休 | 申請期限や取得ルールが明確になっているか。 |
| 特別休暇 | 病気休暇、慶弔休暇、リフレッシュ休暇などが別にあるか。 |
面接では、「有給は取れますか」と聞くだけでは、実際の状況が分からないことがあります。
次のように、具体的な実績を尋ねた方が判断しやすくなります。
配属予定の部署では、年間で何日程度の有給休暇を取得している方が多いでしょうか。
旅行や家族の予定に合わせて、数日続けて休暇を取得される方はいらっしゃいますか。
計画年休がある場合、本人が日程を選べる有給休暇は何日程度残りますか。
転職するか決めていなくても、他社の条件は確認できます。
年収、年間休日、有給取得日数、残業時間、通勤時間を並べると、今の職場に残る理由と、環境を変える理由の両方が見えやすくなります。
今の年収や働く時間を数字で整理したい場合は、こちらのシミュレーターも参考にしてください。
今の年収でいい?手取り・時給・目標年収との差がわかる年収シミュレーター
小言を言われても、私が有給休暇を使う理由
私は、有給休暇をまとめて使うことで、職場では多少目立っているのかもしれません。
それでも、必要なときには今後も使うつもりです。
会社員として任された仕事は行う。休む前には必要な引き継ぎもする。
そのうえで、自分に付与された休暇を使うことまで、遠慮し続ける必要はないと考えているからです。
仕事は人生の大切な一部ですが、人生のすべてではありません。
家族との時間、旅行、健康を保つための休養、何もしない時間。そうした時間も、働くことと同じように大切です。
特に、家族と一緒に過ごせる時間には限りがあります。
仕事を優先し続けた結果、後から「もっと時間をつくればよかった」と思う生き方はしたくありません。
また、資格の勉強や副業など、会社以外の選択肢をつくるためにも時間が必要です。
毎日の仕事だけで疲れ切ってしまうと、自分の将来について考える余裕もなくなります。
会社員の副業や資格勉強に必要なのは「時間の確保」だった|私が感じる限界と工夫
小言を言われないために休暇を諦めるのか。
それとも、必要な準備をしたうえで、自分の人生のために使うのか。
私は後者を選びたいと思っています。
有給が取りづらい会社についてよくある質問
有給が取りづらい会社は違法ですか?
職場の雰囲気が悪いことや、上司に嫌な顔をされることだけで、直ちに違法とは断定できません。ただし、具体的な理由なく取得を繰り返し妨げられる場合や、有給取得を理由に不利益な扱いを受ける場合は、法的な問題が生じる可能性があります。
有給休暇が年20日あるのは多いですか?
週5日勤務などの一般的な働き方では、勤続6年6か月以上で出勤率などの条件を満たすと、法律上の付与日数は年20日になります。会社独自の特別な待遇とは限りません。
会社は年5日だけ取らせればよいのですか?
年5日は、年10日以上の有給休暇が付与される労働者に対して、会社が取得させなければならない最低日数です。5日を超えて取得できないという意味ではありません。
有給を取る理由は詳しく説明する必要がありますか?
有給休暇は原則として利用目的を問わず取得できます。会社の申請書に理由欄がある場合でも、「私用のため」といった簡潔な記載で足りることが一般的です。具体的な申請方法については勤務先の就業規則も確認してください。
有給を数日まとめて取ることはできますか?
連続して取得すること自体は一律に禁止されていません。ただし、希望日に休暇を与えると事業の正常な運営を妨げる場合は、会社から別の日程への変更を求められることがあります。早めの申請と引き継ぎを意識すると調整しやすくなります。
上司に嫌な顔をされたら、有給を諦めるべきですか?
嫌な顔をされたという理由だけで、有給休暇を諦める必要はありません。業務上どのような問題があるのかを確認し、引き継ぎや日程調整で対応できるか相談してください。
会社が勝手に有給の日を決めることはできますか?
会社による年5日の時季指定や、労使協定に基づく計画年休が適切に運用されている場合は、会社側が取得日を指定できることがあります。計画年休は、労働者が自由に使える有給休暇を最低5日残したうえで運用する制度です。もともと労働義務のない休日を、後から有給休暇として処理することはできません。
有給が取りづらい場合は転職した方がよいですか?
一度小言を言われただけで、すぐに転職する必要はありません。ただし、申請を繰り返し拒否される、評価で不利益を受ける、休めない状態が続いて健康や家庭生活に影響している場合は、在職したまま他社の条件を比較する価値があります。
まとめ|有給は付与日数より、必要なときに使えるかが大切
有給休暇が年20日付与されていても、実際には5日しか使えないのであれば、休みやすい職場とはいえません。
一方で、私のように取得時に小言を言われることがあっても、実際には比較的多く使えているケースもあります。
大切なのは、有給休暇が何日付与されているかだけではなく、必要なときに実際に使えるかどうかです。
有給が取りづらいと感じた場合は、次の順番で状況を整理してください。
- 就業規則と有給休暇の残日数を確認する。
- 希望日を早めに、記録が残る方法で申請する。
- 必要な引き継ぎと業務調整を行う。
- 取得を断られた場合は、具体的な理由と代替日を確認する。
- 会社からの回答や不利益な扱いを記録する。
- 改善しない場合は、人事・労務担当や外部窓口へ相談する。
- 必要に応じて、年収だけでなく休みやすさも含めて他社と比較する。
すぐに会社を辞める必要はありません。
ただ、「どこに行っても同じだろう」と決めつけて、健康や家族との時間を諦める必要もないと思います。
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